2012/01/31

さよならだけど

昨年の10月頃だったか、よくモデルをしてくれてる女の子から一通のメールが来た。

“おばあちゃんにウィッグを作ってあげたいんですけど、切ってもらえませんか?”






LIMではオーダーメイド感覚のウィッグの販売をしている。
こだわって作っているので本当に自然で、更にはその方にあわせてカットをするので、
似合わせも一段とクオリティーが高くなる。
ただ、、、おばあちゃんとなると少し話が変わってくる。
やはりある程度のウィッグのつや感とか、カラーなどが年配の方になると少しだけ浮いて見えるから・・・

そんなことも含め、全部伝えないといけないことは全部説明した。
ただ、女の子は
“おばあちゃんが体調崩してから美容室に行けなくなったのでウィッグ作るならLIMのがいいと思って。
 でも、私もちょっと浮いて見えるかなと思ったんですけど、おばあちゃんが作りたいなら好きなようにしてあげたらってお母さんも言ってたし。
おばあちゃん、髪の毛にはこだわりがあってボブがいいみたいなんです。
 お姉ちゃんとプレゼントしたいんです”って。




それは本当に素敵な提案で、
お孫さんの優しさがいっぱい伝わってきて、
結果、おばあちゃんにウィッグを作ることになり、お姉さんと三人でお店にきてくれた。
確かにおばあちゃんの髪の毛はしばらくサロンに行ってない感覚が伝わってくる位伸びていた。
お孫さん二人を両隣に、おばあちゃんのウィッグを切った。

“私、昔はボブが好きでね。これでもオシャレにしてたんだけどね”とか、
時々会話を挟みながら。
“おばあちゃんウィッグ作れてよかったねー” “すごい可愛くなってきたー”って
両隣のお孫さんからの声にちょっと顔がほころんで。 



出来上がってすごく恥ずかしそうにしていたおばあちゃん。
でもそれがすごく可愛くて印象的だった。

最後、見送るとき、ふとおばあちゃんが言った。

“これかぶって京都にお出かけするの。
なかなか遠いから出ること出来ないけど、姉妹のところに遊びにいくの”







つい最近、おばあちゃんが亡くなったことを知った。

年末にさよならしたんだって。


“おばあちゃん、本当にあのあとウィッグかぶって京都に遊びにいったんです。
本当にあのウィッグ気に入ってて・・・
最後にオシャレして念願の京都に行くことが出来て、嬉しかったと思います。
本当にありがとうございました”


女の子からメールが送られてきた。



さよならだけど、

おばあちゃんの長い人生の中でたったの数時間だけど、

喜んでもらえて本当に良かった。

おばあちゃんに出逢えてよかった。



そして、これからも喜んでもらえる出逢いをいっぱいしたいと思った。



mai.